「これ、手で書く必要あるかな?」
倉庫業務にいた頃、毎日のように繰り返していた手書き作業を眺めながら、ふとそう思いました。
完成品に、注文番号・品名・数量を、ボールペンで一つひとつ書き込む。書き間違いそうになる。手間もかかる。でも、これが当たり前の作業でした。私が引き継いだ時点で、もう何年も続いていたやり方です。
こんにちは、おかもち(48歳)です。
いろんな現場で20年。製造業の生産管理と営業を兼ねながら、現場の「モヤモヤ」を改善するヒントを発信しています。
編①では「変えられること」、編②では「空間の工夫」、編③では「時間の短縮」を書いてきました。
今日のテーマは、ちょっと毛色が違います。── 「やめる」です。
この記事を読めば、毎日続けている作業の中から「本当はやめていいもの」を見つける視点が手に入ります。
なぜなら、私自身が3つの「やめる」を実践してきた経験があるから。手書き記入の廃止・工程管理カレンダーの失敗・雑談会議の議事録 ── 3つの実体験を通して、考える力の次の一歩を一緒に見ていきましょう。
「足す」発想の限界 ── 引き算こそ、最大の改善

改善といえば、何かを「足す」発想で考える人が多いのではないでしょうか。
便利な道具を増やす。新しい仕組みを足す。チェック項目を追加する。書類のフォーマットを増やす。── どれも、それ自体は悪いことではありません。むしろ、必要なものもたくさんあります。
でも、足し続けていると、ある日気づくんです。
現場が、重い。
道具は増えたのに、動きが鈍くなる。書類は整ったのに、確認に時間がかかる。フォーマットは充実したのに、誰も最後まで埋めていない。
足し続けると、現場は重くなるのです。
そこで必要になるのが、引き算の発想。「これ、本当に必要?」と一つひとつ問い直す視点です。今日は、私が実際にやってきた「3つの引き算」をお話しします。
1つ目:完成品の手書き記入を、やめた話

最初の話は、完成品への手書き記入です。
私が引き継いだ仕事では、完成品ひとつひとつに、注文番号・品名・数量を、ボールペンで手書きしていました。
注文番号は10桁を超える数字。品名は長いものだと10文字以上。数量も書く。これを完成品1つにつき1セット、ひたすら書き続ける。
正直、思いました。
「これって、手で書く必要あるかな?」
「書き間違えそう。」
「手間もかかる。」
そこで、やってみました。手書きを、やめる。
具体的には、指示書を作り変えたんです。指示書の中に「貼り付け用」の欄を作って、注文番号・品名・数量が**同じ内容で印刷される**ようにしました。
完成品には、指示書のその欄を切り取って、貼り付けるだけ。
結果はどうなったか。
手書きをやめた瞬間、書き間違いはゼロになったのです。
そして、手間も激減しました。注文番号10桁を毎回書く時間と、間違えないように集中するストレスが、一気に消えました。
「手で書くこと」自体が、当たり前すぎて疑問にも思わなかった。でも、本当は引き算できる作業だったんです。
2つ目:工程管理カレンダーを、やめた話(★失敗から学んだこと)

次は、失敗談です。
ある時、現場に工程管理カレンダーを導入しました。各工程の予定を、月単位のカレンダー形式で可視化する仕組み。最初は「これで現場が見える化される」と意気込んでいました。
でも、失敗したんです。
原因は、現場の実情でした。私たちの現場は、差し込みの突発作業が多い。お客様からの急な変更、追加注文、納期前倒し。書いては変更、書いては変更。
カレンダーは、毎日書き直しになりました。
そして、やがて。
誰も、書かなくなりました。
そこで私は、引き算しました。カレンダーを、やめる。
代わりに、シンプルな「工程の一覧表」に切り替えました。日付ではなく、案件ごとの進捗だけを管理する。差し込みが入っても、その案件の行を更新するだけ。
これは、ちゃんと続きました。
学んだことは、一つです。
カレンダーではなく、一覧表でよかったのです。
足したものを、後でやめる勇気も、改善には必要です。「これ、よかれと思って始めたけど、実は機能していない」── そういうものは、堂々とやめていい。
失敗を認めて引き算するのも、立派な考える力です。
3つ目:雑談会議の議事録、本当に必要?

3つ目は、まだ完全には解決していない、現在進行形の話です。
会議という名の、雑談会。
こんな経験、ありませんか?
- 議題がいつの間にか、昔話になっている
- 「あの人はどうとか」「あの部署はこうとか」と、人物評が延々と続く
- 1時間の会議で、本来の議題は5分しか話していない
- 結論が出ないまま、時間切れで終わる
- 「あとはよろしく」と、議事録担当者に丸投げされる
議事録を取る側の身にも、なってほしい。
結論が出ていない会議の議事録ほど、書く意味のないものはありません。何をまとめればいいのか分からない。決まったことがないから、決定事項が書けない。それでも、形式上、議事録は残さないといけない。
結論が出ない会議の議事録ほど、書く意味がないのです。
こういう議事録こそ、本当は引き算したい。あるいは、せめて、書く手間を別の方法で減らしたい。
試験的廃止 ── まず1週間、やめてみる

「やめる」は、勇気がいります。
長年続けてきた作業ほど、やめるのが怖い。「やめたら、誰かが困るんじゃないか」「やめたら、何かが回らなくなるんじゃないか」── そんな不安が頭をよぎります。
そこで、私がおすすめしているのは「試験的廃止」です。
いきなり永久にやめるのではなく、まず「1週間だけ、やめてみる」。あるいは「1日だけ、やめてみる」。
そして、何も起きなければ ── もう、やめていいんです。
1週間だけやめてみれば、本当に必要か見えてくる。
これは私が、手書き廃止の時もカレンダー廃止の時も使った方法です。「とりあえず試す」「合わなかったら戻す」。この姿勢があれば、引き算は怖くなくなります。
「やめる」を判断する3つの問い
最後に、私が「やめるかどうか」を判断する時の、3つの問いを共有します。
問い①:この作業は、誰のためのものか?
答えられないなら、廃止候補です。「昔からやってる」「決まりだから」だけが理由なら、見直しの時かもしれません。
問い②:この作業をやめたら、誰が困るか?
具体的に困る人が思い浮かばないなら、廃止候補です。誰かが本当に困るなら、その人に直接確認するのが早い。
問い③:これは「目的」なのか「手段」なのか?
手段なのに、目的化していることはよくあります。「議事録を取ること」が目的化していて、本当の目的(情報共有)を忘れていないか、確認します。
この3つを通せば、「やめていいもの」と「残すべきもの」がはっきりしてきます。
📱 もう一歩進んだ「引き算」を考えている方へ
Plaud ── 議事録を書く時間そのものを、引き算する
「会議の議事録、書くこと自体をやめたい」と思ったことはありませんか?
Plaudは録音から、自動で文字起こしと要約までこなしてくれる、AIボイスレコーダー。
議事録を書く時間そのものを、丸ごと引き算できるツールです。
次回から、考える力編⑤へ
シリーズ次章「考える力編⑤」では、「手順や順番を入れ替える視点」をテーマに書いていきます。
今日の話が「やめる」だとすれば、次回は「入れ替える」。
引き続き、お付き合いいただけたら嬉しいです。
あなたの貴重な時間を、取り戻すために

最後に、私の本音をお伝えします。
毎日繰り返している作業の中には、必ずと言っていいほど「やめてもいいもの」が隠れています。手書き、雑談会議、過剰な報告、形だけのチェック ── あなたの現場にも、思い当たるものがあるはずです。
引き算は、現場を軽くしてくれます。
そして何より、あなた自身の時間とエネルギーを取り戻してくれます。
あなたの貴重な時間を取り戻すためにも、無くす勇気を持ってください。
足すことよりも、引くこと。
今日、あなたが「これ、本当に必要かな?」と思った作業は、何ですか?
今日も、机の上から。
半径1m以内、1秒から、そして、引き算から。
📚 関連記事
考える力編
- 考える力編①|変えられないことに消耗しないコツ
- 考える力編②|現場改善の事例4選
- 考える力編③|現場の時間短縮テクニック4選
- 考える力編④(この記事)
前章「気づく力編」全6本


コメント