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業務改善の考える力②「現場改善の事例4選|ゴミ袋・ハサミ・作業台で作業効率を上げた話」

「もうちょっと、きれいにできないのかな?」

倉庫業務にいた頃の、私の口グセでした。

パートさんが作業台で作業を終えた後、その作業台のまわりの床には、いつもゴミが散らばっていました。包装の切れ端、テープのカス、伝票の破片。それを集めて捨てるのは、私の仕事。当たり前のように、毎日繰り返していました。

こんにちは、おかもち(48歳)です。
いろんな現場で20年。製造業の生産管理と営業を兼ねながら、現場の「モヤモヤ」を改善するヒントを発信しています。

前回の考える力編①では、「変えられること」と「変えられないこと」の線引きについてお話ししました。今日は、その先のステップです。

この記事を読めば、職場の「ちょっとした不満」を、改善のネタに変える視点が手に入ります。
なぜなら、私自身が4つの小さな工夫で、現場の流れを変えてきた経験があるから。ゴミ袋・赤いハサミ・チラシの向き・作業台の高さ ── 4つの実体験を通して、考える力の次の一歩を一緒に見ていきましょう。

「もうちょっとなんとかならないかな?」── 流していた小さな不満

倉庫業務で、パートさんが作業を終えた後の作業台まわり。床には、必ずと言っていいほど、ゴミが散らばっていました。

パートさんは、自分の作業が終われば、それで終わり。次のシフトの人と入れ替わって、現場を後にする。残されたゴミは、私が片付ける。これが毎日の流れでした。

「もうちょっとなんとかならないかな?」

そう思いながらも、私はただ黙々と床のゴミを集めて捨てていました。誰かに文句を言うわけでもなく、ルールを変えるわけでもなく。これが当たり前。それが当たり前。そう思い込んでいたんです。

でも、ある時ふと気づきました。
「当たり前」って、本当に当たり前なんだろうか。

作業台にゴミ袋をつけた話 ── たったそれだけで、毎日が変わった

ある日、ふと思いついたんです。

作業台にゴミ袋をつけてしまえばいい。
ゴミが出た瞬間に、その場で袋へ。

たった、それだけ。

翌日、私は作業台の脇にゴミ袋をぶら下げて、パートさんにこう伝えました。「ゴミが出たら、ここに入れてください。」

シンプルな指示。誰も嫌がりませんでした。むしろ「あ、その方が楽ですね」と言ってくれた人もいた。

その日から、床のゴミ問題は、その日に消えました

毎日の片付け仕事が、ふっと消えた。何時間も、何日も、何ヶ月も繰り返していた作業が、ゴミ袋ひとつで終わった。

こんな簡単なことに、なぜもっと早く気づかなかったんだろう。
そう思いました。でも、気づいた瞬間が、その日でよかった。

赤いハサミ ── 道具の「迷い」を消す小さな工夫

もう一つの話をします。

パートさんの作業台には、鉛筆、マジック、ハサミ、定規 ── いろんな道具が並んでいました。みんな急いで作業を終わらせようとしているので、道具はあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。同じ場所に戻ることはほとんどありませんでした。

特に、よく使われていたのがハサミです。1日に何百回と手に取る。でも、毎回探す。「あれ、どこ行った?」とつぶやきながら、机の上を見回す。

これも、変えられる。
そう判断しました。

私は、メインで使うハサミを、目立つ赤色に変えました。他の道具は黒や銀色なので、赤いハサミは一目で分かる。

結果、何が起きたか。

目立つ色めがけて、手の迷いが消えたのです。

前は、手が机の上をさまよっていた。今は、赤い色を視界に捉えた瞬間、もうそこに手が伸びている。たった色を変えただけ。でも、1日に何百回もある「ちょっとした迷い」が、全部消えました。

チラシを裏向きに ── たった1工程を削った話

3つ目の話は、チラシ作業の話です。

チラシを折り曲げて、封筒に入れる作業がありました。チラシは、印刷面が見えるように折る必要があります。お客様の手元に届いた時に、ちゃんと印刷面が見えるように。

以前は、チラシの束を「表向き」で作業台に置いていました。すると、作業の流れはこうなります。

チラシを取る → ひっくり返す → 折る。

3つの工程。一見、何でもない。でも、何百枚もこなすと、「ひっくり返す」という動作がボディブローのように効いてくる。

そこで、チラシの束を「裏向き」に置くようにしました。

するとどうなるか。

チラシを取る → そのまま折る。

たった2工程です。「ひっくり返す」がなくなった。

1工程削るだけで、1日の動作の総量が変わる

これは、現場でしか分からない感覚です。机上の計算では「たった1工程?」と思うかもしれません。でも、何百回もある動作が1つ減ると、現場の空気そのものが軽くなるんです。

作業台の足の高さ ── 「同じ」をやめる工夫

4つ目は、作業台そのものの話です。

パートさんの身長は、全員違います。150cmの人もいれば、170cmの人もいる。なのに、作業台は全員同じ高さ。これは、よく考えると、無理がある話です。

背の高い人は、かがんで作業することになる。背の低い人は、手を上に伸ばすことになる。1時間や2時間ならいいかもしれない。でも、1日中続けると、確実に疲労が違ってきます。

そこで、作業台の足の高さを、パートさん一人ひとりに合わせて調整するようにしました。

背の高い人の作業台は、足を少し高く。背の低い人の作業台は、足を少し低く。それぞれの人にとっての「ちょうどいい高さ」に。

やりやすさは、大きく変わりました。「あ、楽になった」「肩こりが減った気がする」── そんな声が、ちらほら聞こえてくるようになった。

「同じ」をやめると、現場が動きやすくなる

当たり前を疑うって、こういうことなんだと思います。

言いそびれた「小さな不満」は、心を疲弊させる

ここまで読んで、「そんな小さなこと、わざわざ言うほどでもない」と思った方もいるかもしれません。

でも、私は思うんです。

「これくらい」と流したら、何も変わりません。

そして、流すと、不満は「慣れ」に変わります。
慣れた頃には、もう何が不満だったかも、忘れてしまう。
でも、心のどこかには、ちゃんと残っている。

そして、それが少しずつ積もっていく。

言いそびれた「小さな不満」は、やがて積み重なって、心を疲弊させるのです。

だから、「これくらい」と思った瞬間こそ、ちょっと立ち止まってみてほしい。
本当に「これくらい」のことなのか。
それとも、これも「変えられること」なのか。

改善のネタは、半径1m以内に転がっている

派手なアイデアは、要りません。
立派なシステムも、要りません。

必要なのは、半径1m以内を、いつもの目線で見ることだけ。

改善のネタは、半径1m以内に転がっています

ゴミ袋ひとつ。ハサミの色。チラシの向き。作業台の高さ。
どれも、特別な才能も予算も要らない、ちょっとした工夫です。

でも、その小さな工夫が、現場の流れを確かに変えてくれます。

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次回から、考える力編③へ

シリーズ次章「考える力編③」では、「時間軸」をテーマに、作業の中に無意識に潜んでいる時間の使い方について書いていきます。

今日の話が「空間の工夫」だとすれば、次回は「時間の工夫」。
引き続き、お付き合いいただけたら嬉しいです。

「もうちょっとなんとかならないかな?」と思った瞬間に

最後に、問いを残します。

今日、あなたが「もうちょっとなんとかならないかな?」と思った瞬間は、ありましたか?

その瞬間に、たった3秒だけ立ち止まって、考えてみてください。
「これ、どうしたら変えられるだろう?」と。

思考を止めずに、ちょっとだけ考えれば、見えてくることがあるはずです。

今日も、机の上から。
そして、半径1m以内から。

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