「ミスをした時、誰が悪い?」
そう問われると、多くの職場では犯人探しが始まります。
「あの人がやった」「いや、指示が悪かった」「責任者は誰だ」── そんな空気、思い当たりませんか?
でも、犯人探しで現場が良くなったことは、ほぼありません。
むしろ、責められた人は萎縮し、信頼関係は崩れ、次のミスが報告されなくなる。
これが、業務改善が止まる最大の理由のひとつです。
こんにちは、おかもちです。製造業で生産管理+営業を兼務する、岡山在住・アラフィフ会社員です。
「業務改善5つの力」シリーズの気づく力編①〜③で、「疑う・キャッチする・余白を持つ」を語ってきました。
今回はその応用編、編④── 観察の対象を『人』から『行動・仕組み』へ切り替える話です。
改善は「人」ではなく「仕組み」を見る

業務改善の現場で、私が20年見てきて確信していることがあります。
人は、仕組みの中で動いている。
つまり、誰もが好きでミスはしていません。
ミスは、ほぼ100%、仕組みのどこかに穴があるから起きます。
「あの人はミスが多い」と片付けると、改善は止まる。
「あの人がミスした時の状況には、こういう特徴がある」と観察すると、改善が始まります。
人を責めると、何が起きるか

それでも、人を責めてしまう職場は多い。
結果、何が起きるか。
現場でよく聞く声があります。
上司に報告すると怒られるから、報告したくない
これが起きると、ミスが起きても報告されません。
すると:
- 原因がわからない
- 同じミスが繰り返される
- 現場の信頼関係が崩れる
- 誰もが「自分を守る」モードになる
このループは、このブログのMission「不満を溜めず、満足を積み上げる」と完全に真逆の状態です。
責めることで、現場は確実に 動かなくなります。
「人」ではなく「行動」を見る視点
ここで、視点を切り替えます。
人格は、簡単に変えられません。「もっと注意しろ」「集中しろ」と言っても、人の性質は変わりません。
でも、行動・環境・仕組みは、変えられます。
これが、気づく力編④の中核メッセージ ── 「人より行動を見よ」。
実例:荷札の貼り間違いを「仕組み」で解決した話

ここで、私の実体験をシェアします。
ある日、現場でこんなミスが起きました。
「Aに送るはずの荷物が、Bに届いた」
「Bに送るはずの荷物が、Aに届いた」
荷札の貼り間違いです。
普通の現場なら、こうなります。
「誰が貼った?」
「ちゃんと確認しろ」
「集中力が足りない」
でも、私は「責めない観察」を心がけているので、まず作業を分解して見ました。
すると、こうなっていました。
- 2か所宛の荷物を、同じテーブルに同時に置いて作業していた
- 荷札も2種類、同じテーブルに混在
- 作業者が、瞬時に取り違えた
これは、誰がやっても起こり得るミスです。
原因は、人ではなく「同じテーブルに置く」という仕組みにありました。
そこで、こう変えました。
2つ同時にテーブルに置かない ── これだけのルール変更。
1つの作業を完了させてから、次の作業に移る。
結果:同じミスは、その後発生していません。
派手な改善ではありません。
でも、人を一切責めず、ただ仕組みを1つ変えただけで、現場は確実に楽になりました。
この考え方は荷札だけではありません。
発注ミス、入力ミス、報告漏れ、納期遅れにも同じことが言えます。
観察すべき「3つの対象」

「人ではなく行動を見る」と言われても、何を見ればいいか?
私が現場で意識している3つの対象を紹介します。
① 作業手順(プロセス)
作業の流れの中で、迷う箇所はないか。順番が混乱を生んでいないか。
順番を変えるだけでミスが減ることは、現場では非常に多いです。
② 環境(道具・配置・時間プレッシャー)
道具の置き場所、机の広さ、作業の締切。
「2つ同時にテーブルに置く」のは、まさに環境の問題でした。環境がミスを生んでいないか、淡々と観察します。
③ 仕組み(ルール・情報の流れ)
ルールや情報の流れに穴がないか。
「2つ同時に置かない」のような、シンプルな仕組み変更で大きく改善することがよくあります。
観察は「未来を変える」武器

「責めない観察」と聞くと、ふんわりした美徳に聞こえるかもしれません。
でも、これは現場で実利のある技術です。
観察は、過去を責めるためのものではありません。
観察は、未来を変える武器です。
過去のミスを誰かのせいにしても、現場は変わりません。
でも、過去のミスから「行動・環境・仕組み」のどこに穴があったかを観察すれば、未来のミスが減ります。
これが、責めない観察の真の価値です。
まとめ:今日から使える「責めない観察」3ステップ

ミスやトラブルが起きた時、こう動いてみてください。
ステップ① ミスの「責任者」を探さない
「誰が悪いか」ではなく「何が原因か」。
最初の質問を、人から仕組みに切り替えます。
ステップ② 行動・環境・仕組みのどれが原因か観察
3つの対象のどれが、ミスを生んだのか。事実だけを淡々と見ます。
ヒューマンエラー対策の詳しい考え方は、ヒューマンエラー対策|思い込み・見間違いを減らす3ステップも合わせてどうぞ。
ステップ③ 改善案を「人」ではなく「仕組み」に向ける
「集中しろ」ではなく、「同じテーブルに置かないルール」。
責めない改善が現場を変える ── これが、20年現場で見てきた真実です。
「Win-Win」と「まず理解に徹し、そして理解される」を学びたい方へ
責めない観察の土台にある考え方は、世界的名著『7つの習慣』の第4の習慣「Win-Win」と第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」で体系化されています。組織で「責めない文化」を作りたい方には決定版です。
📘 「責めない文化」を作る一冊
完訳 7つの習慣 人格主義の回復
スティーブン・R・コヴィー(著)
第4の習慣「Win-Win」と第5の習慣「まず理解に徹する」が、責めない観察の土台になります。
気づきと観察を記録する
「あ、これは仕組みの問題だな」と気づいた瞬間を、その場で残せると後で活かせます。私はPlaud(プラウド)で観察メモを録音し、AIに整理してもらっています。
自分の職場で迷ったら
「うちの職場で『責めない文化』をどう作るか」「個別の状況を相談したい」── そんな時は、ココナラの組織開発・業務改善コンサルタントへ。1回数千円から、自分の現場に合わせたアドバイスをもらえます。
最後に
気づく力編①「疑う」、編②「キャッチする」、編③「余白を持つ」、編④「行動と仕組みを見る」── ここまでで、気づく力の4つの側面が出揃いました。
次回は 気づく力編⑤「扉を開くカギは『なぜ?』の習慣化」 を予定しています。「なぜ?」を問う力が、気づく力をさらに深めます。
明日の現場で、もしミスやトラブルが起きたら、「誰が悪い?」ではなく「何が原因?」と問いを変えてみてください。
それだけで、現場の空気は確実に変わります。
今日もここまでお読みいただき、ありがとうございました。おかもちでした。


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