「いいね、それ。」
「でも、今忙しいから。」
改善提案をしたことがある人なら、一度は聞いた言葉だと思います。
こんにちは、おかもち(48歳)です。
いろんな現場で20年。製造業の生産管理と営業を兼ねながら、現場の「モヤモヤ」を改善するヒントを発信しています。
気づく力シリーズも、いよいよ最終回。
今日は、私が20年の現場でやっと分かった「気づきが消える職場」の正体についてお話しします。
「いいね」で終わる職場の正体

改善提案が進まない職場には、共通点があります。
「いいね、それ。」
「でも、今忙しいから。」
「やったらいいじゃん。」
──結局、誰も動かない。
正直に言いましょう。私が経験してきたどの職場でも、ほとんどがこのパターンでした。
悪気はないんです。
けれど、「いいね」と言われた瞬間に、提案は宙に浮いて、そのまま消えていく。
これって、提案した側の問題でしょうか?
違います。
気づける人より、気づきが消える空気が問題なのです。
小さな実験 ── ペン立てから始めた話

では、どうすればいいのか。
私がやってきたのは、本当に小さなことです。
共用のペン立てがありました。
書けないペンと書けるペンが混ざり、マーカーもボールペンも、何もかも一緒くたに突っ込まれていた。
ある日、声をかけました。
「あの、ペン立てを整理してもいいですか?」
返事は「いいよ」のひと言。
そこから始めました。
- 書けるペンと書けないペンを仕分け
- マーカー・マジック・ボールペン・鉛筆で区分け
- 仕切り付きの「プチ文房具棚」を作って、すぐに取れるように並べる
完成した翌日、声がかかりました。
「あ、きれいになったね。」
たった、それだけ。
でも、これが大事なんです。
小さな一歩は、誰の許可も大きく要らない。
「整理していいか?」が言える範囲なら、まずそこから手をつける。
これが、気づきが消えない職場の入口です。
工具置き場 ── 「声を拾う側」に回る

もう一つの話をします。
ある現場の工具置き場。
何年も前から、ものが積み重ねられて手のつけようがない状態でした。
そこへ、現場の人から声が上がりました。
「これ、仕分けしたいんだけど。」
私は自分の本来の持ち場ではなかったのですが、
時間を見つけて、積極的に手伝いました。
工具の仕分けだけでなく、
出てきたゴミの仕分けまで、一緒にやりました。
すると、何が起きたか。
次の月、同じ現場の別の人から、
「ここも片付けたいんだけど、相談していい?」と声がかかったのです。
拾う側になると、声を出す人が増える。
これは、20年の現場でやっと気づいたことでした。
一人で全部はできない ── チャンスを待つ姿勢
正直に言いましょう。
すべての改善を、私一人でやることはできません。
それは無理だし、やったら現場が嫌がります。
だから私は、こう決めています。
本来の持ち場ではないところは、チャンスが来るまで待つ。
焦って手を出さない。
誰かが「困った」と言うまで、見守る。
そして、もう一つ大事なこと。
共用部で何かを動かす時は、必ず「どこから・どこへ」を全員に連絡する。
現場には、しばらくの間、張り紙もしました。
「ペン立て、A棚の左に移動しました(◯月◯日〜)」
たった、これだけ。
でも、この一手間があるかないかで、次の提案の通りやすさが大きく変わります。
配慮は、信頼貯金です。
言葉がなくても、人は静かに受け入れる

「使いやすいね」と言葉をもらえる時もあります。
でも、もらえない時もある。
そういう時は、私のプランが何か惜しかったんだと思っています。
100%みんなに受け入れられるわけではない。
ただ、面白いことに、
良いものは、言葉なしにみんな使い始めるのです。
「ペン立て、便利だね」と言わなくても、
書けるペンと書けないペンが混ざることは、もうありません。
これが、本当の受容のかたちだと思います。
言葉は、おまけ。
使ってもらえているかどうかが、すべて。
📖 もう一歩深く学びたい方へ
7つの習慣 ── まず理解に徹し、そして理解される
「拾う側のあり方」を、もっと深く知りたい方へ。
7つの習慣の第5「まず理解に徹し、そして理解される」は、リーダーが現場の声を拾う基本です。
私が20年間、何度も読み返している一冊を紹介しておきます。
シリーズ完結に寄せて ── 気づき続けることが、すべて

気づく力シリーズ、6本にわたってお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後にお伝えしたいことは、たった一つ。
無理に、すぐやり始める必要はありません。
すぐにすぐにではなく、じっくり腰を据えていきましょう。
クレームや重大事故につながりそうなことは、もちろんすぐに対応が必要です。
でも、それ以外は、一歩ずつ進んでいけば大丈夫。
一人で無理せず、手伝ったり、手伝ってもらったり。
あなたが気づき続けることこそが、何より大事なのです。
気づくことに、上手い・下手はありません。
ただ、見続けること。感じ続けること。
それだけで、職場は確実に変わっていきます。
次回から、考える力編へ
シリーズ次章は「考える力編」です。
気づいた後、どう考えるか。
「気づき」を「行動」につなげるための思考の道具を、一緒に深めていきます。
引き続き、お付き合いいただけたら嬉しいです。
あなたの職場では、声が拾われていますか?
最後に、問いを残します。
あなたの職場で、一番煩雑になっている場所はどこですか?
そこに気づいているのは、もしかしたら、あなただけかもしれません。
今日、一歩だけ、動いてみませんか。
気づく力編、これで完結です。
ここまで読んでくださった、あなたへ。
本当にありがとうございました。


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