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業務改善の考える力⑥(完結編)|見る・聞く・真似るが改善のカギ

「今日の突然の仕事が多いな、バタバタしそう…。」

私にも、慌ただしく目の前の仕事をこなす日々がありました。電話が鳴る、伝票が積まれる、納期が迫る。気づけば1日が終わって、「結局、何ができたんだっけ?」と振り返ることもしばしばでした。

でも、隣の席のある先輩は、まったく違ったんです。同じように仕事が降ってくるはずなのに、慌ただしく作業を始めない。注文書を眺めながら電卓を叩いたり、現場を少し見渡したり。最初は「何をやっているんだろう?」と疑問でした。

こんにちは、おかもち(48歳)です。
いろんな現場で20年。製造業の生産管理と営業を兼ねながら、現場の「モヤモヤ」を改善するヒントを発信しています。

編①(変えられること)→ 編②(空間の工夫)→ 編③(時間の短縮)→ 編④(やめる)→ 編⑤(動線設計)と書いてきました。
今日は、いよいよ ── 考える力編 完結編です。

テーマは「**見る・聞く・真似る**」。

この記事を読めば、自分一人で考える限界を超えて、他者の工夫から学び続ける視点が手に入ります。
なぜなら、私自身が先輩や他業種から学んで、現場を変えてきた経験があるから。先輩の「思考の段取り術」、他業種で衝撃を受けた「カタメルンダー」── 2つの実体験と、考える力編全6本の集大成を通して、最後のステップを一緒に見ていきましょう。

「自分の頭の中だけ」では、限界がある

業務改善を考えるとき、最初は誰もが「自分の頭の中」で考えます。

これも大切なことです。編①〜⑤までで書いてきた「変えられること」「半径1m以内」「時間短縮」「やめる」「動線設計」── どれも、自分の頭で考え、自分の手で動かす話でした。

でも、ある時点で気づくんです。

自分一人で考えていても、出てくる答えはどこか似ている。
新しい発想が、湧いてこなくなる。

自分の頭の中だけで考えても、限界があるのです。

そんなときの突破口が、他人のやり方を見る・聞く・真似ること。他人のやり方には、必ず「発見」があります。観察し、質問し、取り入れる。これだけで、自分一人では絶対にたどり着けなかった答えに出会えます。

今日は、私が実際に「他人から学んで現場を変えた」2つのエピソードと、シリーズ全体を貫く考え方をお伝えします。

〈エピソード1〉先輩から学んだ「先に頭の中で仕事を終わらせる」技術

最初の話は、ある先輩社員から学んだことです。

冒頭でも触れましたが、私は長い間「バタバタ型」でした。仕事が降ってきたら、すぐに着手する。目の前の伝票から処理する。それが「ちゃんと仕事してる」感覚だったんです。

ところが、隣の席のある先輩は、まったく違いました。

朝、突然の仕事が降ってきても、すぐには動かない。机に向かって、注文書をじっと眺める。伝票を見ながら、電卓を叩く。立ち上がって、現場を少し見渡す。そして、また席に戻って、何かを書き出している。

「何やってるんだろう?」
最初は、本当に疑問でした。私から見ると、その間にも処理すべき仕事は山積みです。なぜ、その先輩は焦らないんだろう?

後日、思い切って聞いてみました。「あの、何を考えてるんですか?」と。

すると、先輩はこう教えてくれました。

  • まずは全体を把握する
  • この仕事は何分で完了するか、見積もる
  • 段取りを先にしておくべきものを、洗い出す
  • そうすると、大体何時くらいに終わるかが見える

つまり、その先輩は先に頭の中で仕事を終わらせているのです。

頭の中でゴールまで描いてから、実際の作業に取り掛かる。だから、慌てない。だから、ミスも少ない。だから、定時に帰れる。

私には、その発想がまったくありませんでした。
「とにかく目の前から処理する」が当たり前だったから。

早速、真似してみました。最初はぎこちなかったけれど、続けるうちに頭の中で仕事が整理され、慌てる必要がなくなったんです。

これは、編③で書いた「時間短縮」の更に手前のステップだったとも言えます。動く前に、考える。考え終わってから、動く。たった、それだけ。

〈エピソード2〉他業種の工場見学で見た「カタメルンダー」

次は、他業種の工場見学で受けた衝撃の話です。

ある日、別の業種の工場を見学する機会がありました。何かを押し固めて製品を作る、専用の機械が並んでいる工場です。

その機械を案内されたとき、私は思わず目を疑いました。

機械に、こう書かれていたんです。

「カタメルンダー」。

機械の名前です。
冗談みたいな、でも誰が見ても忘れないような、その名前。

私の会社では、機械はずっと「あの機械」「何番の機械」と呼ばれていました。それが当たり前だったから、何の疑問も持っていませんでした。でも、「カタメルンダー」と書かれた機械を見た瞬間、私は気づいたんです。

あ、機械に名前を付けてもいいんだ。

その工場の方に聞くと、機械に名前を付けるメリットを教えてくれました。

  • 機械への愛着感が生まれる
  • 普段のコミュニケーションが楽になる(「カタメルンダー、調子悪い?」とすぐ通じる)
  • 共通認識ができる(誰でも一発で分かる)

これは、真似する価値がある。
私はそう確信しました。

会社に戻って、検査機械に名前を付けることを提案しました。みんなで案を出し合って、決まった名前は「**ケンサーZ**」。

結果、何が起きたか。

「ケンサーZ、今日も頑張ってるね」
「あ、ケンサーZのランプ点滅してる」
「ケンサーZ、休憩中?」

こんな会話が、自然に生まれるようになったんです。機械に名前を付けると、職場が明るくなる

どんな名前にするかが話題になり、職場の雰囲気そのものが変わりました。これは「業務改善」というより「文化の改善」かもしれません。

他業種を見に行かなければ、絶対に思いつかなかったアイデアです。視野を広げると、自分の枠を壊してくれるヒントが、思わぬところに眠っているんです。

「真似る」は、恥ずかしくない

「人の真似をするのは、ちょっと恥ずかしい」と感じる人もいるかもしれません。

でも、業務改善において、その気持ちは捨てたほうがいい。

「真似る」は、悪いことじゃないのです。

先輩の思考の段取りも、他業種の機械の命名も、最初は私にとって「未知の発想」でした。それを丸ごとコピーすることから始めた。そして、自分の現場に合わせて少しずつアレンジしていった。

カタメルンダー → ケンサーZ。
他業種の名前のセンスを、自社の文脈に合わせて作り直した結果です。

大切なのは、結果を出すための柔軟さを持つこと。
「これは自分の発明じゃない」と気にする必要は、ありません。良いものは、堂々と取り入れる。それが、考える力を育てる近道です。

「聞いてみる」から始めよう

他人のやり方を学ぶ、もう一つの方法は、シンプルです。

聞いてみる。
ただ、それだけ。

「なんでこの順番なんですか?」
「これ、何か工夫してるんですか?」
「どうしてその位置に置いてるんですか?」

素直に質問するだけで、ヒントは集まります。たった一言で、ヒントは集まるのです。

面白いのは、聞かれた側の反応です。質問されると、自分のやり方を言語化することになります。すると、「あ、これって工夫だったのか」と、聞かれた側も自分の仕事を見直すきっかけになるんです。

私が先輩に「何を考えてるんですか?」と聞いたとき、先輩自身も改めて自分の仕事の進め方を言葉にしてくれました。たぶん、先輩にとっても、そのプロセスは新鮮だったはずです。

聞くことは、お互いのためになる。
これが、チーム全体のレベルアップにつながります。

★ 考える力編 全6本の集大成

ここで、考える力編 全6本を一気に振り返ります。

各編で書いてきた核フレーズを並べると、こうなります。

  • 編①「変えられないことに執着しない、変えられることに集中する」
  • 編②「半径1m以内に、改善のネタは転がっている」
  • 編③「定型化できる仕事を、さらに短縮する」(1秒の積み重ね)
  • 編④「あなたの貴重な時間を取り戻すために、無くす勇気を持つ」
  • 編⑤「流れを検討すれば、時短の糸口が見えてくる」
  • 編⑥「見る・聞く・真似るが、改善のカギ」

こうやって並べてみると、共通点が見えてきます。

すべて、**自分の影響の輪の中**にあること。
そして、**小さな一歩**から始められること。

大きな改革は要りません。
机の上の配置、半径1m以内の動線、1秒の積み重ね、無くす勇気、流れの設計、他者からの学び ── どれも、自分の手で、今日から始められることです。

そして、これら全てを統合する考え方が、こうです。

**考える力は、自分の進む道をよくする力**。

誰かを変えるための力ではなく、自分が前に進むための力。
それが、考える力の本質だと、私は思っています。

📖 考える力編の集大成として

7つの習慣 ── 刃を研ぐ(第7の習慣)

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次回から、伝える力編①へ

シリーズ次章は「伝える力編」です。

考える力で気づいたアイデアも、誰かに伝わらなければ、現場は動きません。「言ったのに伝わらない」「提案しても通らない」── そんなモヤモヤを解消する視点を、これから一緒に深めていきます。

考える力で「自分の進む道」を整え、伝える力で「他者と共に進む道」をつくる。
そんなイメージで、次章もお付き合いいただけたら嬉しいです。

考える力編、ここに完結

考える力編、6本にわたってお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

最後に、私の本音を一つ。

考える力は、自分の進む道をよくする力です

他人事で終わらせず、どう自分に生かせるか── あらためて考えてみることが、大切です。

誰かに評価されなくてもいい。
誰かに認められなくてもいい。
ただ、自分が「昨日より少しマシな現場」を作れたら、それで十分。

その積み重ねが、いつかきっと、職場全体の流れを変えます。
そして、何より、あなた自身の毎日を変えていきます。

今日も、机の上から。
半径1m以内、1秒から、引き算から、流れから、そして、他者から。

考える力編、これで完結です。
ここまで読んでくださった、あなたへ。
本当に、ありがとうございました。

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