「この重たい机を動かしたい。そうすれば、作業がやりやすくなる。でも、一人じゃ大変…。」
せっかく改善のアイデアがあるのに、一人の力では行き詰まって、心が折れそうな経験 ── ありませんか?
私も、**「大変そうだから」と先延ばしにした**経験があります。アイデアはいいんです。でも、一人じゃかなわないこともたくさんある。
こんにちは、おかもち(48歳)です。
いろんな現場で20年。製造業の生産管理と営業を兼ねながら、現場の「モヤモヤ」を改善するヒントを発信しています。
前回のやってみる力編②では「『提案するだけ』をやめて自分で動く」を書きました。
でも、動いた先で「もう一人では無理」と気づくことも多いんです。今日はその次のステップ ── 仲間を巻き込む 話です。
この記事を読めば、一人で行き詰まった時に、自然と仲間を巻き込む視点が手に入ります。
なぜなら、私自身が「立ったまま切断できる台」に、周りから続々と改良提案をもらった経験があるから。3つの工夫(興味喚起+素直な言葉+軽い協力)を通して、巻き込む哲学を一緒に見ていきましょう。
「一人でやる」には、限界がある

改善のアイデアが浮かんだ時、こんな瞬間、ありませんか?
「この重たい机を動かしたい。」
「あの棚の位置を変えたい。」
「このフォーマットを作り直したい。」
アイデアは、頭の中で完成している。でも、実際に動かそうとすると、一人では手が足りない。時間も、体力も、権限も、足りない。
結果、こう思ってしまうんです。
**「大変そうだから、また今度でいいか。」**
私も、何度も同じ思いを抱えてきました。せっかくのアイデアが、行き詰まって心が折れそうになる。そして、そのまま忘れられていく。
「一人でやる」には、限界があるのです。
だからこそ、次に必要なのが「仲間を巻き込む」ステップ。今日は、私が経験した「巻き込み成功のエピソード」と、日常的に使っている3つの工夫をお伝えします。
〈成功〉切断台に、みんなから追加提案が続々来た話
やってみる力編①で、「立ったまま切断できる台」を試作的に置いた話を書きました。
覚えていらっしゃる方 ── ありがとうございます。あの話には、実は **続き** があります。
試作的に置いた切断台を、みんなが使うようになった。ここまでは、編①でお話しした通りです。
でも、実際に使い始めてみると、まだ課題がありました。
木材の長さを測るために、**メジャーを、毎回別の場所から借りてきていた** んです。
切断→メジャーを取りに行く→戻ってきて測る→切断。この繰り返し。
「これ、なんとかならないかな」── 私は思っていました。
でも、まだ具体的なアイデアは出ていなかった。
そんな時、周りから提案が来ました。
「**作業台の盤面に、5cmごとにメモリをマジックで書いておけばいいんじゃないですか?**」
私は、ハッとしました。
そんな簡単なことで、メジャーを取りに行く時間がゼロになる。
すぐに実装しました。作業台に、マジックで5cmごとの目盛り。
すると、しばらくして、また別の提案が来ました。
「**切断の場所に印をつけるためのマジックを、置いておくポケットを付けよう。**」
これも即採用。作業台の脇に、小さなマジック置きポケットが付きました。
結果 ── 木材さえ持ってくれば、メジャーもマジックも不要。切断作業のスピードは、目に見えて上がりました。
一人で始めた改善に、周りが自発的に参加してくれたのです。
これは、私が予想していなかった展開でした。私が一人で「メジャーを何とかしたい」と考え続けても、たぶん5cm目盛りのアイデアは出てこなかった。周りが使っていたから、周りが気づいた。そして、提案してくれた。
試作品を置くことは、周りに「あなたも参加していいですよ」というメッセージを送ることでもあったんです。
巻き込みの言葉:「困っているので、ちょっとだけ手を貸してもらえませんか?」

自分から積極的に巻き込みたい時、私がよく使う言葉があります。
**「困っているので、ちょっとだけ手を貸してもらえませんか?」**
不思議なもので、人は「困っている」と言われると、なんとかしようとしてくれます。「大丈夫、自分でやります」と言うより、素直に「困ってます」と言う方が、道が開けることが多いんです。
ただし、注意点があります。
「困っている」**だけ** ではダメ。
続けて、「**何をしてほしいか**」を具体的に伝える必要があります。
「困っているので、この机の右側を、少しだけ持ってもらえませんか?」
「困っているので、このフォーマットを、一緒に確認してもらえませんか?」
「困っているので、5分だけ話を聞いてもらえませんか?」
そして、なるべく **軽いところから** 始めてもらう。「全部一緒にやってください」ではなく、「一部だけ」「5分だけ」「意見だけ」。
「困っているので、ちょっとだけ」が、心を動かす。
相手にとって負担が軽ければ軽いほど、YESと言ってもらいやすい。そして、一度手を貸してもらえたら、次はもう少し深く関わってくれることが多いんです。
「これ、どう思います?」から入る

もう一つ、私が大事にしている言葉があります。
それは、**「これ、どう思います?」**
改善したいと思っているのは、私だけかもしれません。みんなは、そんなことに興味がない場合もある。それが現実です。
そんな時、いきなり「**改善したいから、こうしてください**」と言うと、相手の考えが追い付かない。「なんでいきなり?」「今の何がダメなの?」と、逆に構えられてしまう。
私も、何度か同じ失敗をしました。熱意で押し切ろうとして、相手が引いてしまう。
みんな、それぞれ忙しいんです。
だから、こう切り出すようにしています。
「**これ、どう思います?**」
意見を聞くだけ。それだけなら、相手も答えやすい。答えていくうちに、相手も「あ、確かにここは変だな」「こうすればいいかも」と、自分で気づき始める。
「これ、どう思います?」から興味は始まる。
まずは、興味関心をもってもらうところがスタート。改善は、その先にあるものです。
巻き込みの3ステップ:興味 → 共感 → 軽い協力

3つの工夫を整理すると、こんな順番になります。
- 興味喚起:「これ、どう思います?」で意見を聞く
- 共感を得る:「困っているんです」と素直に打ち明ける
- 軽い協力を頼む:「ちょっとだけ、手を貸してもらえませんか?」と具体的に
いきなり③の「協力してください」から始めると、相手は身構えます。
まず①で興味を持ってもらい、②で共感を作り、それから③でお願いする。
巻き込みは、興味 → 共感 → 軽い協力の順。
この順番を意識するだけで、YESと言ってもらえる確率は大きく変わります。切断台のメジャー目盛りやマジック置きの提案も、私が「使っている姿を見せた(興味)」→「メジャーを取りに行く姿を見せた(共感)」→ その先で周りが自発的に提案してくれた、という流れでした。
📖 もう一歩深く学びたい方へ
7つの習慣 ── シナジーを創り出す(第6の習慣)
「一人より、みんな」哲学を、もっと深く学びたい方へ。
7つの習慣の第6「シナジーを創り出す」── 他者と協働して、一人では届かない成果を生む考え方の源流。
伝える力編③でも紹介した、業務改善の土台となる一冊。やってみる編でも再登場です。
次回から、やってみる力編④へ
シリーズ次章「やってみる力編④」では、やってみる力をさらに深める工夫について書いていきます。
今日の話が「仲間を巻き込む」だとすれば、次回はその次の一歩。引き続き、お付き合いいただけたら嬉しいです。
誰かと一緒に、道は広がっていく

最後に、私の本音を一つ。
誰かと一緒にやったことで、さらに広がりをみせていく可能性があるのです。
明日、あなたの周りの誰か1人に、こう聞いてみてください。
「**これ、どう思います?**」
意見を聞くだけで、興味の入り口が開きます。
「困っているんです」と素直に付け加えれば、共感が生まれます。
「ちょっとだけ、手を貸してもらえませんか?」と続ければ、道は開ける。
一人では届かなかった所へ、二人なら届く。二人が三人になれば、無限に広がる。
切断台のメジャーとマジック置きのように、あなたの改善にも、思いがけない提案が集まるかもしれません。
今日も、机の上から。
半径1m以内、1秒から、引き算から、流れから、他者から、目的から、相手から、見える化から、冷静さから、数字から、聞くことから、動くことから、引っ張ることから、そして、巻き込むことから。
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